多様化する「弔い方」。お盆に私たちの生き方を考える
by Tomoko|墓じまいなど、変化する現代の「弔い方」。その選択肢はもっと多様であっていいのではないでしょうか。また、「どんな最期を迎えたいか」を考えることは、限りある時間の中で「どう生きるか」を見つめ直す大切なきっかけになるかもしれません。
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そんな日本の墓の歴史は、縄文時代以前、旧石器時代にまで遡ります。現在の墓石の形になったのは江戸時代と言われており、その後、明治時代以降に土葬から火葬に代わり(※2)、戦後、今のように誰でも墓を建てられるようになったそうです(※3)。
初詣やお宮参り、七五三、お墓参りのために、神社やお寺へ足を運ぶ。一方で、結婚式の際にはキリスト教式にチャペルで式を執り行うなど、特定の宗教への帰属意識は薄いとされる日本。ならば、「葬送の形ももっと多様であるべきではないか」。これは、筆者が取材した際に聞いた、粉砕した火葬後の遺骨を森林の土中に直接埋葬して自然に還す「循環葬®」を立ち上げた小池さんの言葉でした。
どんな最期を迎えたいかという想いは、一人ひとり異なります。家族や親戚が眠る墓石に一緒に入りたい人もいれば、墓参りをする家族への負担を気にかける人もいます。
また、他の多くの野生動物たちのように、自然に還り、その循環に貢献したいと願う人もいるでしょう。時代の変化とともに個人の生き方が多様化する今、「弔い方の選択肢」を含めた「人の終わり方」は、もっと多様であっていいのではないでしょうか。
千葉・真野寺にある循環葬®の森(筆者撮影)
そうした「どんな最期を迎えたいか」という問いを通して、自身の死や終わりについて考えることは、「どう生きたいか」と問いかけることにもつながっています。必ず訪れる最期を意識することで、有限な時間を感じる。
そんなとき、人は、自分が本当にありたい姿を想像し、限りある時間をより良く生きよう、本当にやりたかったことをしよう、身近な人をもっと大切にしよう──そんなふうに悔いのない人生を送り始められる気がしているのです。
仏教用語の一つに「諸行無常」という言葉があります。「この世のものは絶え間なく変化し続けている」を意味するその言葉が伝えているように、人の気持ちも家族のあり方も社会も、すべて変わり続けます。そう考えると、「弔い方」が変化することも自然なことなのかもしれません。
お盆を機に、自分や大切な人の「終わり方」、そして「生き方」について少し考えてみませんか。
※1 【第16回】お墓の消費者全国実態調査(2025年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向
※2 墓・墓石の歴史とその変容
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